華林 第 11 号

(平成17年3月発行)

「上善は水の如し」

学校法人 佐藤栄学園
理事長 佐藤 栄太郎

 老子が語る「上善は水の如し」という言葉は、人生を理想的に生きていくために水に学ぶことが大切であるということです。

 一つ目は、水は、この万物の生きるものにはなくてはならない大切なものであるけれども水はそのことを恩に着せません。存在の意義は自分の為ばかりではなくて他のためにも必要であるというそういう意味合いがあります。

 二つ目は、水は本質を変えない。水は清濁相出でてやがて水本来の姿に戻る。環境に負けないということです。どんな状況の中でも、皆さんは学んだ知識その心を持って善悪の判断をしてください。

 三つ目は、水は方円の器に従います。意図も柔軟であり順応性の高いということです。変わりゆく時代の中で、それぞれの環境にすばやく順応し、よりよい豊かな力を発揮してください。

 四つ目は、水は高きから低きに流れる。謙虚であるということを意味しています。おかげさまでという謙虚な気持ちを持ってください。

 五つ目は、水は満たして後進む。どんな小さな窪たまりでもいっぱいにならなければ進むことはしません。繰り返し自分自身の仕事をしっかりやってそして次に前進をする。一歩一歩着実に進歩・発展をするというそういう根気とそれに対する誠実さが必要です。

 最後になりますけど、水は秘めたエネルギーというものがあります。いざというときには、岩を砕くようなすばらしいエネルギーがあるのです。

 皆さんも、21世紀のリーダーとしていざという時の力を発揮できるように、日ごとの学びを忘れることなく、一層の活躍、健勝を心から祈っております。

「しなやかな感性」の育成

埼玉短期大学
学長 加賀谷 煕彦

 社会は、グローバル化、高度情報化の進展、少子高齢化の進行と家庭・地域の変容、産業・就業構造の変貌、科学技術の進歩と地球環境問題の深刻化、そして、これらによって生じた国民意識の変容といった大きな歴史的変動の流れの中にあります。

 このような環境のもとで、大学教育への期待は、直面する困難な諸課題をよく見据え、立ち向かい、それを乗り越えていく力をもつ若者を育て上げることです

 感性は優れた芸術との出会いや労働を含むさまざま行為・行動を通して身に付くものであり、たくましい体は身体運動によって作られることはいうまでもありません。つまり、感性と体力・健康は「動くこと」によって獲得されるものです。このことを学生諸君によく理解してもらうことが本学のこれからの教育での大きな課題です。

 新学長として、「人間是宝」の建学の精神に沿い、前学長の佐藤照子先生の教育の成果を大切に、学生諸君・教職員の力を結集させ学園の充実を目指したいと考えております。関係各位のご指導をお願いいたします。

思い出など

日本文化コミュニケーション学科
平林 一利

 大学の帰り道、ゼミに参加している学生達や、長期休暇中の補習などに参加した学生達と一緒に食事などをすることがある。高級なものを食するわけでもないので、勉強や将来のことなどの話もはずみ、また私の学生時代のことなどを話しているうちに、自然と財布の紐も緩くなるのである。

 私も大学時代、よく先生から食事やお茶などをご馳走になった。学食のカレーライスからフランス料理まで非常に大きな幅があったが、幾度となくいろいろな店に連れて行っていただいた。その中でも特に記憶に残っているのは、大学三年の初冬の頃の出来事である。大学の帰り道、後ろからゼミでお世話になっている先生に肩をたたかれ、そのまま近くのレストランでステーキをご馳走になった。食事をしながら「きちんと食べてますか」と質問をうけた。どうも私の歩いている姿が、今にも倒れそうな様子に見えたそうである。授業料、生活費など、すべて自身で賄っていたため外食などする余裕はなく、さらに食費を削って書籍などを購入していたころであったので、そのように見えたのだろうか。しかし非常に嬉しかった思い出である。

 短大に就職し五年ほどたったころ、先生にお会いしたさいそのときのことをお話すると「そんなことありましたかねぇ」とあまり覚えていらっしゃらない様子であった。ご馳走になったほうは、しっかり覚えていたのだが…。

 されば、レストランでのステーキとはいささかの差はあるが、私が学生達に奢ってあげたラーメンやカレーライスを、私がそのことを忘却しても、彼らはおぼえていてくれるのであろうか。