華林 第 13 号

(平成19年3月発行)

「新たなるスタートへ向け」

学校法人 佐藤栄学園
理事長 佐藤 栄太郎

 第17期生の皆さんは、より豊かな人間形成の中で、よき師との出会い、そして共に学び共に明日を語る友との友情を深めながら、今日まで学理と実務的能力を身に付け、新しい世界に旅立とうとしております。今、日本が置かれた立場は、国際情勢にしても経済にしても、大きなうねりと変化の環境の中にあります。皆さんは、そうした世界の新しい人生の道に向かってスタートするわけです。

 皆さんを含め、本学は四千五百名を超える卒業生を輩出しました。その間、私が繰り返し言い続けてきたことは、一日二十四時間をどう生かすかが「宝」になるかどうかの分岐点となるということでした。また、夢を抱き理想を追う限り「人は誰でも努力と勉強次第でその道の第一人者になれる」と説いたのは、母が遺した言葉と、学校設置とその道程も投影されているのです。皆さんに、また、職場に家庭にしっかりと根を張って努力を続けている卒業生の皆さんへも特にお願いしたいことは、二年間しっかりと学んだという自信を基盤として、本学の学訓「今日学べ」と本学園の建学の精神「人は生きた資本であり資産、人間是宝である」という理想に向け、さらに発展できるような人材になってほしいということです。

 本学から巣立った多くの人が、社会から高い評価を受けていることは、誠に喜ばしいことです。このことは、本学の教育がこれからの時代にふさわしい教育であることが社会的に認められたことによると確信しております。

 今後、卒業生・校友会の会員としての自覚をもち、二十一世紀のリーダーシップとなれるよう理想の道を邁進することを切に望みます。

「母校に寄せる熱き思い」

埼玉短期大学
学長 藤井 明

 陽春の光が懐かしい花崎の地に降りそそぐ時候となりましたが、校友会会員の皆様には益々ご健勝にお過ごしのことと存じます。

 日頃は、母校埼玉短期大学発展のためにご援助ご協力を賜り、厚く御礼を申し上げます。おかげさまで、学生諸君の着実な努力が実を結んで、今年もりそな銀行をはじめとする一流企業への就職、千葉大ほか国公私立大学への編入学など、進路状況もきわめて好成績を収めることができました。これもひとえに、先輩の皆様のご活躍の顕著な反映と重ねて感謝申し上げます。

 仏教語に「面授」という言葉があります。「師が口ずから仏法の奥義を弟子に伝授する」という意味ですが、私は教育の理想的なあり方も、極論すれば一人の教師が一人の学生に教えを授けることであると考えています。その点で、本学の少人数教育は恵まれた環境にあり、この点も上述のごとき成果を生んだ一因をなしていると思います。

 さて、今私は、昨秋華林祭後に行われた校友会の懇親会を想い起こしております。

 遠方からの、あるいは愛児を伴っての参加者を含めて所狭しと集まった卒業生の皆様が、在学中の思い出やら現況報告、さらには未来への抱負を語り合って、時間の経過も忘れるほどの盛況でした。

 来春三月をもって母校も一応十九年の歴史にピリオドを打ちますが、私は会場に満ち溢れる談笑の声を耳にして、わが埼玉短期大学の歴史が凝縮されて一気に噴き出した感を受けるとともに、母校を思う皆様の情熱を体感した次第です。

 今後とも皆様方の絶大なるご支援を賜りますようお願い申し上げます。

参加することの意義

共通教養 加藤 智子

 皆さんご存知だとは思いますが、私の専門はウェイトリフティングで日本代表選手として世界選手権などに出場してきました。昨年の七月に約十年ぶりにIF (International Federation) が主催する国際大会に役員として参加しました。私が選手として参加していた頃に同じく違う国の代表選手をしていた仲間(当時は順位を競い合っていましたが)が他の国の役員・コーチなどとして参加しており、久しぶりに会う仲間たちはみんなお互いに覚えていて時間の隙間も感じなくすぐに打ち解けることができました。言葉も民族性も習慣も違うのに不思議なものです。私がこの仲間と過ごしたのは、学生時代でこの頃の仲間はたとえ何年会っていなくてもすぐにうち解けることが出来るのだと思いました。

 さて、来年はいよいよ北京オリンピックが開催されます。オリンピック大会の正式名称にスポーツという表記はなく「Olympic Games」と称されています。スポーツの大会というよりゲームの大会として呼ぶ方がオリンピック精神に合っているのかもしれません。なぜなら、ゲームの類語の中には Gather(集まる)に接続していく語源も含まれるからです。世界の地域、民族、国から選手たちが四年に一回集まる、何を押しても必ず集まる、集まれる状態を作る、このことに強い意味を与えている、「参加することに意味がある」そのためには戦争、紛争の中にあっても国境を越えて集まる行為を尊重することが世界秩序の安定と平和に寄与する、その意味を核にすえたスーパーイベントを Olympic Games として理解するべきなのでしょう。

 我が埼玉短大も大きな節目を迎えようとしています。卒業生の皆さん!その時には是非集まって下さい。皆さんが集まってくれることがきっときっと大きな意味になることでしょう。