華林 第 7 号

(平成13年3月発行)

新世紀への旅立ち

学校法人 佐藤栄学園
理事長 佐藤 栄太郎

 21世紀となり、埼玉短期大学も新しい世界へ向かって新たな旅立ちの時を迎えました。卒業生の皆さんも職場で、学校で、家庭で「今日学べ」の教育の成果を基に新しい世界を創造していくことと思います。

 新世紀は、20世紀とは比較にならないほど国際化、情報化が急速に変化、進展していくことは確実です。そのような変化の激しい時代に対処するには「愚直の努力」も必要です。

 よく、駅のホームで駅員が、電車の進行方向を指で示し、目で見て、声を出し、耳で聞いて安全を確認しているのを目にします。単純で基本的なことを、愚直とも言うほどくり返し行い、無意識のうちに反応するぐらい訓練を重ねたことを思わせます。時代の流れが早く、社会が複雑化し、高度化すればするほど、すべての面で単純で基本的なことが忘れがちになりそうです。皆さんには、基礎基本に目を向け、愚直の努力をすることを勧めます。その努力の上に、高度なものが積み上がっていくのですから。

 愚直の努力を怠らず、日本人としての感性を磨き国際感覚を身につけ、あらゆる分野で活躍してくれることを期待しております。

笑顔の日々

埼玉短期大学
学長 佐藤 照子

 校友会の皆さんお元気ですか。そして新しく会員になられる卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。

 現代人の大きな忘れ物として五つほどあげます。

 一、日本人であることの誇りや愛国心
 二、たくましく生きる上での生活規範
 三、絆・連帯感・仲間意識
 四、いま生きていることの実感、感動
 五、命の大切さ

 子供達のさわやかな成長を願って日々暮らしていますと、病める社会と呼ばれている現象の中で、大切なのは何か考えさせられます。

 社会に巣立つとすぐ必要になるものは礼儀ですが、あいさつとこれは、人生のパスポートといわれます。御家庭にその根はあると思います。そんなものは教わらなかったとばかりに、きょとんとされてしまうと、ついつい親子の関係が対等な家庭を連想してしまいます。

 両親のバランスが良くないと子供の中の人格が高まるイメージが定着しないといわれます。欲望や衝動で動いてしまうことが多いといわれます。両親の中の秩序、規範は子供に大切なものです。

 サッカーレというイギリスの作家は、「美しい笑いは家の中の太陽です。」と語っています。昨今、家族の絆も弱まって、ふれあいも少ないといいます。家族を囲んで、笑顔の日々を送られるようにお祈りしています。

日英の大学・短大を比較して

共通教養課程
助教授 木村 通治

 イギリスの大学は、全て国立大学で、50校くらいしかありません。しかも全寮制です。進学率は約7%で、lady と gentleman になるためのエリート教育です。

 これに対して、日本の短大は500校くらいあり、高校生の半数以上が高等教育を受けます。日本の大学・短大はジェネラリストの育成を中心とする傾向があります。

 さて、イギリスの大学では、critical mind(批判力)を養うことを大事にしています。これに反して、日本では、知識の蓄積に重きを置いているようです。

 また、イギリスの大学では、学生は「自分」で学びます。ここでは、「科学」するスピリッツを体得します。つまり、「理論」を作って、データで「検証」する empiricism を学習する訳です。特に、新しいアイデアを創造することが大切にされています。逆に、日本では、「先生」から教えてもらうことが多いような気がします。しかも、日本では、テクニックの伝授が中心となっています。所謂、学問の「技術」と「know-how」を身につけることが大事にされています。

 最後の指摘点になりますが、イギリスでは、大学を出た人とすでない人は、どこで分るでしょうか?それは、「英語」です。学士を持っている人は、格調高い英語を喋べります。その差は一言喋っただけで、歴然としています。これが、Oxbridge 英語というものです。

 従って、日本の短大卒業生も「きちんと」した日本語を喋べるように心掛けてみてはいかがでしょうか。