華林 第 3 号
(平成9年3月発行)
道元禅師に学ぶ
学校法人 佐藤栄学園
理事長 佐藤 栄太郎
皆さんの学び舎を柔らかな陽光が包む頃となりました。今年も巣立つ日、そして皆さんの新たな後輩を迎える季節となりました。
埼玉短期大学は、皆さんが学んだ時と同じように学長をはじめ教える側の全スタッフが建学の精神「人間是宝」を基本理念に21世紀を担う人材育成に情熱を燃やして歩み続けております。国際感覚を身に付けた日本人として、「人間是宝」として社会へ送り出そうとする教育姿勢は本学園の誇りでもあります
そうした環境で育まれ、今春は第7期生が飛躍する日を迎えました。初めて対面した時、私は道元禅師の言葉「霧の中を行けば、覚えざるに衣しめる」を引用しました。学問に当てはめ、よき教師や師について学べば知らず知らずの内に学問、知識が身につく、と述べました。7期生はもちろん、7期生の先輩の皆さんに申し上げたいことは、「学問」を「人生」と置き換えて道元禅師の言葉をかみしめてみて下さい、ということです。皆さんが善き人に巡り会え、勉強を続けてほしいと願う気持ちからのことです。
これから地球時代へ向かっての環境にはミクロ的には国家間、民族、宗教、文化、言語など諸問題を抱え、マクロ的には地球から宇宙を包括したすべての調和と共生が求められることでしょう。こうした中で、大事なことは「自分は何ができるか」「何をしなければならないか」との自らへの問いかけであろうと考えます。
勉強に終楽章はありません。本学で学んだことを改めて思い起こし、それを基調として新世紀へたくましく向かって下さい。皆さんの一層のご活躍、ご健勝を心から祈っております。
大切にしよう 身の廻りにある言葉
埼玉短期大学
学長 佐藤 照子
学長室から見える景色の一つに、遠く私達を見守るがごとくそびえ立つ富士山の様々の姿があり、私の感慨を深くしてくれます。
皆様の中でも本学に学んで富士山を見なかった人はいないのではないかと考えます。四季折々の情景を思い出して下さい。心が温かくなるでしょう。人は誰でも心に残る風景を持っているといわれます。
歳月人を待たず、年我と共に伸びずの感があります。
私が日々見ているカレンダーに
無用の力を省き 需要に応ず
というモラルの教えが書いてあります。私たちは、日常生活において、多くの無駄を行っています。例えば、すぐに必要のないものでも衝動的に買ったり、やらねばならないことがあっても娯楽に時間を費やしたりして後悔することがあります。何が有用であり、何が無駄であるかは、人によって違いがあります。モラルの世界では、人心のために役立つかを基準として有用と無用を判断しています。常に全体の秩序や調和発展を考えて、自分の力や労力を積極的に他の人々、社会に活かすのです。非常に学ぶこと教わることの多い言葉です。忙中閑あり、少しはゆとりある生活を持てる日々の中で考えるには、とても刺激的な事柄であります。カレンダーに限らず、身の廻りにある言葉を大切にしたいものです。
1年1ヶ月後の再会
情報処理学科
教授 東山 貞子
「昨年卒業した情報処理学科A組の…」ではじまる電話を受けたのは平成8年1月21日の夕刻でした。去年?ああそうか年が明けたから平成7年3月の卒業生からの連絡で用件は何かと俄に緊張しました。と申しますのも、私はまぎれもなくこの組の担任でしたから。5月はじめにクラス会を開きたいが都合はどうかとの問い合せでした。
平成5年4月、磐梯青年の家でのクラス集会の折り「体をこわす程は勉強しないこと。2年後には今ここに居る全員が卒業式に臨むこと」これが担任の願いのすべてでした。
5月5日午後6時30分大宮駅『豆の木』が待ち合わせ場所。やがて東口を出て『居酒屋風白木屋』そこは若者の熱気に満ち溢れ男子学生だけの一団、女子のみのグループ。当方男女それぞれ6名9名の混合チーム(羨望の眼差しあり)。
一別以来の挨拶を交わし乾杯。男子学生と女子学生がこんなに親しかったとは在学中は知りませんでした。この仲間意識が50人そろって卒業した原動力になっていたと思いました。次のような一齣。
A君「… 仕事を替えようかと思う」
B嬢「エッ辞表を出してしまったの?この御時世に、乗り切らなくては !!」
C君「帰宅は早くて11時だから夕食は家ではとれない」
D嬢「明朝早くプログラミングの仕事で京都まで出かけますので途中で失礼します」
E君「法学部に編入学、学問に取り組む姿勢の再認識」
等々、もう社会で責任をきちっと受け止めている会話が展開されました。
私は卒業生の名刺を眺め皆様の活躍に想いを馳せるのが好きです。現在は名刺には無縁だけれど、そのうちに送りますという嬉しい言葉と美しい花束を頂戴して第1回クラス会は終わりました。
再見 !!