華林 第 4 号
(平成10年3月発行)
上善は水の如し
学校法人 佐藤栄学園
理事長 佐藤 栄太郎
皆さんが青春の思い出を刻んだ埼玉短期大学は、早いもので開学十年目の春を迎えました。建学の精神「人間是宝」に基づく、学長はじめ諸先生の教えによく応え、新しい世界へ巣立つ8期生、また職場に家庭にしっかりと根を張って努力を続けている卒業生の皆さんも、私と同様、感慨新たなものがあろうと推察いたします。
21世紀に差しかかっている今、私から皆さんへ語りかけたいメッセージの一つは、老子が遺した「上善如水」の四字成句です。
老子は、至高の理想、善を「上善(じょうぜん)」ととらえ、求められる生き方は「水のようなものである」と説きました。
水は、極めて柔軟です。四角の器に入れれば四角の形となり、円い器では、まあるくなります。人は、ともすれば低い所に身を置くことを避けがちですが、水は低い方へと流れます。水のように謙虚であれ、ということです。一方で水は、とてつもないエネルギーを秘めております。絶え間ない点滴は石をも穿ち激流、急流と姿を変え、岩をも削ります。
時代が新しくなろうとも、人に求められる理想の姿に変わりはありません。時折、この熟語を思い起こしてくださることを望みます。
皆さんのご健勝と、ご多幸を祈ります。
「心」を大切に
埼玉短期大学
学長 佐藤 照子
春の日ざしをうけて、校友会は今年も多数の新入会員を迎えました。
月日がたつのは早いもので、埼玉短期大学はおかげさまで、開学して十年目となりました。この間、三千名におよぶ多くの卒業生を送り出し、それぞれがさまざまな世界で活躍し、あるいは心温まる家庭を築いている、などとの便りを目にし耳にするとき、教育者の一人として喜びと誇りとを覚えます。今年も、そうした便りがつぎつぎに届きますことを楽しみにしております。
私が、日頃心掛けておりますことは、「心の教育」です。昨今、その重要性が叫ばれておりますが、このことは開学以来大きなテーマとして取り組んでまいりました。今後もこのテーマにきちんと目を向け、明日の世界を担う若い人たちを育てるため、力を注ぎたいと思っております。
私事となりますが昨年、文部大臣から表彰され、教育者として精励し教育の振興に顕著な功績、との身に余る言葉をいただきました。このことは申すまでもなく、私一人の功績、名誉ではありません。理事長先生はじめ学園関係の皆様とご一緒の栄誉と受け止めております。この機会を教育者としての新たな出発点とし、私自身の大きな課題である、「心の教育」のあり方について、さらに勉強を重ね、本学園に期待を寄せて下さる方々にお応えしたいと思います。
秘書士からビジネス実務士へ
共通教養
教授 安部 清徳
秘書士について
本年3月に全国大学・短期大学実務教育協会(加盟校 258校)から、秘書士に必要な科目を履修した学生82名が「秘書士」の認定証を授与されました。
秘書士講座を開講してから、学生の好感の持てる“あいさつ”が多くなり、秘書検定試験(準1級、2級、3級)に多数合格し、在学生130名も頑張っています。
夏季集中講座の最終日に、ホテルで、学長先生の出席のもとに支配人の講師から洋食や和食のマナーの実務を学んだことは、社会に出てからも参考になると好評でした。
ビジネス実務士に移行
4月から、ビジネス実務士講座を開講します。産業構造、企業形態の変化により、例えば年功的給料から年棒制への移行、契約社員の増加などの企業が増加しつつあります。労働基準法は、昨年10月に男子・女子を男性・女性に改正し、明年4月から深夜勤、休日、時間外労働も男女が同じ労働条件となって、男女雇用平等が具体化の方向にあります。
昨年の高齢社会白書に、65歳以上の高齢化率は、1995年の14.8%が、2020年は25.5%になり、この時点の就労者としての生産年齢の人口(20〜64歳)は53.3%と低い率で予測しています。
ビジネス実務士講座では、このような社会状況を踏まえて21世紀の社会や企業に少しでも対応できるよう、パソコンを駆使した事務能力と資格取得が可能な環境づくりをする予定です。
日本ビジネス実務学会の研究のほか、実務教育協会で企業にPR活動をはじめており、ビジネス実務士は20年間は続くと思います。
今後は、理事長先生、学長先生のご指導のもとに、「上級ビジネス実務士」講座の開設に向かって努力してまいりたいと思います。