華林 第 8 号
(平成14年3月発行)
日々の変化を見逃さずに
学校法人 佐藤栄学園
理事長 佐藤 栄太郎
寒さが日ごとに和らぎ、日差しも暖かになりつつある季節となりました。春は、私たちを取り巻く環境の変化が目に見えて激しい季節で、周りには葉を落とした樹から若葉の芽が出て、草木の躍動する姿が見られます。
草花や木々は春になった瞬間に突然、芽吹くものではありません。厳しい寒さの中で、その時に備えて日々、絶え間なく変化し、成長し続け芽吹くのです。
21世紀最初の年は激動の年でもありました。私たちの常識を超える出来事が起き皆さんは、ともすれば目の前の変化の激しさに惑わされ、勢いに流されることがあったかも知れません。
ですが、世の中の出来事は決して理由もなく、ある日突然にやって来るものではありません。必ずその出来事に至るまでの経緯があって起きるのです。私たちを取り巻く変化の激しい環境に対応するためには、それへ至った原因が何であるかを見抜くことこそが明日を生きるための重要な道標なのです。それらは、代わり映えのしない連続した日々の陰に隠れているものであり、常に何かを学ぼうとする緊張感からしか見抜く力は生まれません。
一年経てば同じ日付が訪れます。ですが、日付が同じでもVTRの巻き戻しのような、同じ日の同じ舞台は決して訪れることはありません。「今日学べ」の精神で、一日一つでも何かを学び取り、それを積み重ねて大きく成長し、有意義な人生を送ることが出来るのです。皆さんに、そうあってほしいと願うものです。
笑顔の日々
埼玉短期大学
学長 佐藤 照子
校友会の皆さんお元気ですか。そして新しく会員になられる卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。
現代人の大きな忘れ物として五つほどあげます。
一、日本人であることの誇りや愛国心
二、たくましく生きる上での生活規範
三、絆・連帯感・仲間意識
四、いま生きていることの実感、感動
五、命の大切さ
子供達のさわやかな成長を願って日々暮らしているはずなのに、幼児虐待等が後を絶ちません。病める社会と呼ばれている現象の中で、大切なのは何か考えさせられます。御家庭にその根はあると思います。社会に巣立つとすぐ必要になるものは礼儀とあいさつです。人生のパスポートといわれます。そんなものは教わらなかったとばかりに、きょとんとされてしまうと、ついつい親子の関係が対等な家庭を連想し、大きな忘れ物をしたのではないかと考えてしまいます。
両親のバランスが良くないと子供の中の人格が高まるイメージが定着しないといわれます。欲望や衝動で動いてしまうことが多いといわれます。両親の中の秩序、規範は子供に大切なものです。
サッカーレというイギリスの作家は、「美しい笑いは家の中の太陽です。」と語っています。昨今、家族の絆も弱まって、ふれあいも少ないといいます。家族を囲んで、笑顔の日々を送られるようにお祈りしています。
激動の年 2001年
英語学科 渡辺 慎一郎
とにかく大変な一年だった。いや、だったどころか年が変わった現在も悪夢がまだ覚めやらぬと言うべきかもしれない。いずれにしろ今、世界が一つの方向に向かって動き出していることははっきりしている。アフガン復興に向けての世界を挙げての協力体制が着々と築かれているのだ。
丁度タイミング良くこの時期に「カンダハール」という映画が放映されていることを知った。監督の言に依れば、アフガニスタンが長い間戦禍に見まわれた原因は世界の人たちの無関心さにあることを訴えるためにこの映画の制作を決心したと言う。アフガニスタンの余りの悲惨さに制作を半ばあきらめかけたこともあったが、世界の人々に実情を知ってもらうために着手を決意したそうである。
この映画を見、実態を知れば、多くの人たちが対岸の火事といった態度を改め、緒方貞子さんと同じ姿勢で支援活動に積極的に参加することになるかも知れない。
緒方貞子さんの難民支援活動は実に長い。1976年に女性初の国連日本政府代表部公使に選ばれて以来、国連難民高等弁務官として難民問題に積極的に取り組んで来られたことは周知の通りである。今はアフガニスタン支援担当日本政府代表として、「世界の良心」緒方貞子さんは、日夜、復興に力を注いでおられる。
妻として、母として、主婦としてしかも外交官として真摯に難民支援に取り組むその姿勢は多くの人々の共感を呼ぶ。
頼もしいことに我が英語学科の卒業生の中にも国際的に活躍している女性が何人かいる。この4月スタートの新学科においても「国際」という名に恥じない人材の育成に努力を傾けたい。